メーカーの各部門を連携させるロジスティクスの重要性
メーカーは生産に必要な原材料や部品等を適切に調達し、生産した商品を顧客に適切に供給することが求められます。しかしながら、メーカーの中には調達、生産、供給の連携に頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。本日はメーカーのロジスティクスを最適化するため、何を重要視すべきか考えていきたいと思います。
目次
メーカーが抱えている各部門の課題
メーカーは通常、調達管理、生産管理、物流管理、販売・営業などの部門があります。それぞれに計画を立てて実行していると思いますが、しっかりと部門連係ができていないと需要と供給のバランスが取れずに欠品をだしてしまったり、過剰在庫を抱えてしまいます。それでは各部門の課題を掘り下げてみましょう。
調達管理部門の課題
調達管理部門に求められるのは原材料や部品等をいかに安く調達することができるかという点です。多量の一括仕入れであれば調達コストを下げられるのが世の常ですが、コストを意識し過ぎるあまり、需要とのバランスが取れないほどの多量の原材料や部品等を仕入れても結果的に在庫を抱えてしまうことになります。
生産管理部門の課題
生産管理部門に求められるのはいかに生産効率を上げることができるかという点です。少品種のものを同じ生産ラインで多量生産すれば生産コストを下げることができます。しかしながら、生産の供給サイクルが長くなり、全体のリードタイムが長期化することから、顧客需要への対応が遅延するといったリスクも存在します。調達管理部門同様、コストを意識し過ぎると過剰在庫を発生させることになります。
物流管理部門の課題
物流管理部門は特にコスト部門として認識されている部門です。そのため、輸送効率から考えると輸送頻度を少なくするために大ロットでまとめて輸送するほうがコストは下がります。しかしながら時折、販売・営業部門から「もっとリードタイムを短くできないか」「顧客が多品種小口配送を求めている」「ここの顧客は定時でないと受け付けない」等の注文をしばしば受けることもあるのが現実です。そのため、いかにコストとサービスのバランスを取るかという点が重要になります。
販売・営業部門の課題
さきほども少し触れましたが、販売・営業部門は顧客の要望に応える必要があります。リードタイムの短縮、欠品解消、多品種小口配送、定時配送、緊急納品等の顧客からの要望は年々増していく一方です。特に決算前になると営業目標を達成するために付き合いのある顧客に返品可能の条件でも販売することがあり、後々大量の返品に困るケースも珍しくはありません。
課題を解決するための各部門の連携方法
さて、部門ごとに欠品や過剰在庫が発生するかもしれないといった課題が浮き彫りになりました。しかし、例え立場が違う各部門の課題を解決できたとしても、それには少なからず矛盾も生じてくるため、部分最適はできても全体の最適化はできません。そのため、今度は全体最適を見据えた課題の解決方法について考えていきます。
ERPパッケージの導入
ERPとは英語のEnterprise Resource Planning(企業資源計画)の略語で、日本では統合基幹業務システムやERPパッケージとして認識されています。ERPパッケージはさまざまな部門の資源を一元管理することが可能なシステムです。そのため、経営分析や経営戦略の構築、経営の見える化という点で大きなメリットが存在します。
PSI管理の徹底
PSIとはProduction(生産)とSales(販売)とInventory(在庫)の3つの英単語の頭文字をとった言葉です。全体の製品需要計画を作成し、需要と供給を同期化する取り組みですが、近年では過去の販売実績や価格、地域や天候等を材料にしたAiによる需要予測を導入する企業が増えています。需要予測をもとに各部門が連携した供給計画を策定することになるので、足並みを揃えることができます。このような各部門の連携をインバウンドSCM(サプライ・チェーン・マネージメント)と言います。
需要計画に対する供給サイクルを最適化
需要計画に対する供給の見直しはどんな企業でも取り組んでいることですが、この見直しサイクルを短くすることが重要です。というのもこれまで多くの企業では月単位で見直しを図っていました。しかし、大きく変動する需要に対応するには月単位の見直しではもはや追い付かない場合があり、結果的に欠品や過剰在庫が発生する要因となっています。そのため、週単位での見直しを図る企業も増えています。
ロジスティクス部門の設置
実際のオペレーションを実行する物流管理部門とは別にインバウンドSCMをまとめるロジスティクス部門を設ける企業も増えています。各部門のパイプ役となり、これまでできていなかった情報共有をシームレスに実現し、需要を見ながら早いサイクルで計画を調整していきます。
生産形態の見直しに着手を
確かに需要計画と供給計画を短いサイクルで調整することは重要ですが、すべてうまくいくかと言うとそうでもありません。Aiによる予測も精度が上がっているとは言え、予想だにしない外部的要因があれば予想はただの「予想」で終わってしまう場合もあります。そのため、そもそもの生産体制を見直す動きも広まりつつあります。
受注生産
見込み生産であれば需要と供給のバランスが合わないとか欠品や過剰在庫が発生リスクがありますが、受注生産ならその心配は要りません。実際に車やカメラ、電化製品等は受注生産に転換しています。しかしながら、これは商材の特性によるところが大きいでしょう。受注生産のデメリットはやはりリードタイムが長期化するということ。この課題を解決するために中には半製品まで見込み生産をしておき、注文を受けてから最終の組み立てや加工を行う中間的な形態も普及しています。つまり、顧客が待ってくれるのであれば、受注生産に転換するメリットは大いにあります。
パレート分析
パレート分析(ABC分析)は商品をクラス分けするための分析です。例えば、売れ筋の比較的安価な商品はAクラスに分類されますが、在庫リスクが少ないため価格を抑える意味でも多量の見込み生産に適しています。反対に販売数量が少ない比較的高価な商品はCクラスに分類されます。企業としてはCクラスの商品であれば在庫リスクが大きいため受注生産に転換することも検討されます。そういう意味では顧客に待ってもらうだけの商品価値やブランド価値を高めていく必要があるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。メーカーの経営戦略には各部門を連携させるロジスティクスが重要であるということがお分かりいただけたと思います。弊社トミーズコーポレーションは企業様の物流部門を請け負うことができます。最新のクラウド型倉庫管理システム「BEELOGI(ビーロジ)」を導入していることから、ありとあらゆるシステムと連携することが可能です。
また、自社物流で運営していきたい企業様には物流コンサルティングを提供しています。物流管理部門のコストを下げるための出荷頻度別のABC分析を用いた効率的なロケーション管理を提案しています。
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