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公開日: 2020/04/03
更新日: 2024/08/28

単品通販と総合通販のロジスティクスの違い その1

カテゴリ:EC通販業務について

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令和4年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、22.7兆円に達し、前年の20.7兆円から9.91%の成長を遂げました。経済産業省の報告によれば、この成長は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、消費者の購買行動が急速にオンラインへシフトしたことが大きく寄与しています。パンデミックの影響で、EC市場は日本の消費者にとって重要な購買チャネルとしての地位を一層強化しました。その結果、企業にとってもECの導入は競争力を維持し、成長を続けるための不可欠な戦略となっています。まだEC事業に乗り出していない経営者の方々も、このような市場環境を前にして「今こそECに参入しなければならない!」と強く感じられていることでしょう。

ところで、ECといえば「通販」として広く認識されていますが、この通販には「単品通販」と「総合通販」という二つの異なる形態が存在することをご存知でしょうか?EC市場の急速な拡大に伴い、これらの通販形態がどのように異なり、それぞれがどのようなビジネスモデルとして成り立っているのかを理解することは、ECに参入しようとする企業にとって極めて重要です。本日は、この「単品通販」と「総合通販」の違いについて詳しく解説し、それぞれの特徴や成功のポイント、さらにはロジスティクスの視点からの違いについても深掘りしていきます。

単品通販とは

単品通販とは、基本的には一種類の商品に特化して販売する形態を指します。この形式の最大の特徴は、取り扱う商品が一つに絞られているため、商品に関する知識やマーケティングを深めることができる点にあります。通常、自社のオリジナル商品が多く、製品の品質やブランド価値に強い自信を持つ企業が採用することが多いです。また、単品通販は、メーカーが直接顧客に販売するDtoC(Direct to Consumer)のビジネスモデルでも広く採用されています。このモデルでは、仲介業者を介さず、顧客との直接の関係を築くことが可能であり、顧客のニーズやフィードバックを素早く反映させることができる点が大きな利点です。

単品通販で成功を収めるためには、その商品に対する顧客のリピート購入が極めて重要です。健康食品や化粧品のように、消費者が継続して使用することが期待される商品は、「単品リピート通販」とも呼ばれます。例えば、ダイエットサプリメントは、その効果が長期間にわたって現れるため、継続的な購入が求められます。これは、単品通販において顧客にいかにリピートしてもらうかがビジネスの成否を左右する大きな要因となることを意味します。

具体的には、ダイエットサプリメントのような商品は、結果を出すために長期間の使用が必要です。顧客が継続的に商品を購入する期間は、企業にとってその顧客にアプローチするチャンスが続く期間でもあります。この間、どれだけ効果的に顧客に商品を訴求し、継続購入を促すかが、単品通販ビジネスの成功の鍵となります。

そのため、単品通販においては、定期購入という形で値引きを行うECサイトも多く存在します。定期購入を選んでもらえれば、初回購入だけでなく、2回目、3回目と継続して購入してもらうことが期待でき、顧客獲得にかかるコストを分散することが可能です。これにより、たとえ初回購入の価格を低く設定しても、長期的には利益を確保することができます。また、無料サンプルを提供して顧客を獲得する戦略も、効果的な手段です。この手法は「2ステップマーケティング」と呼ばれ、初回の購入に対する心理的ハードルを下げ、顧客を定期的な購買行動へと誘導することが可能です。

さらに、単品通販におけるビジネスの成功には、LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)を向上させることが不可欠です。LTVとは、顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の総額を指し、これが高まれば高まるほど、ビジネスの持続可能性や利益率も向上します。単品通販では、リピート購入を促進し、顧客との長期的な関係を築くことで、LTVを最大化することが重要な戦略となります。

単品通販を始める際には、適切なECカートの選定が成功への鍵となります。前述したように、EC市場の拡大に伴い、多種多様なASP(アプリケーションサービスプロバイダー)のECカートが提供されています。特に、単品リピート通販に特化したたまごリピート魂などは、定期購入に関連する機能が充実しており、顧客とのリピート契約を容易に管理できます。具体的には、定期購入のお届け日変更や価格変更、さらにはキャンペーンの実施など、単品通販特有のニーズに対応するための多彩な機能が備わっています。

総合通販とは

総合通販とは、単品通販とは異なり、複数の商品を幅広く取り揃えて販売するEC形態を指します。総合通販の最大の特徴は、豊富な商品ラインナップを展開できる点にあります。これは、オリジナル商品の販売に限らず、メーカーや卸業者から仕入れた商品を取り扱うことも含まれます。商品のバリエーションが多い分、消費者に対して幅広い選択肢を提供でき、異なるニーズに応じた提案が可能となります。

総合通販の魅力の一つは、ショップのコンセプトに応じて商品ラインナップを柔軟に設定できることです。例えば、セレクトショップは、バイヤーの独自のセンスによって選ばれた商品を展開するため、他のECサイトとの差別化が図りやすく、個性的なブランドイメージを築くことができます。このため、バイヤーの選定力や市場洞察力が総合通販の成功には欠かせません。消費者は、自分の趣味嗜好に合った商品を探し求める際に、信頼できるセレクトショップに繰り返し訪れる傾向があります。

総合通販のもう一つの大きな利点は、複数の商品を一度に購入するクロスセル(=合わせ買い)を促進できることです。単品通販では一つの商品に特化しているため、消費者が他の商品を同時に購入する機会は限られます。しかし、総合通販では、消費者が興味を持った商品と一緒に関連商品を提案することで、売上の向上を図ることができます。例えば、ファッションECサイトでは、服とアクセサリー、靴などをセットで提案することで、消費者が複数の商品を一度に購入するケースが増えます。これにより、客単価の向上が期待できるのです。

さらに、総合通販の強みとして、リピート購入のインターバルをコントロールできる点が挙げられます。単品通販の商品、特に健康食品や化粧品のような消耗品は、一定期間の使用後に再購入されるのが一般的です。しかし、総合通販では異なる種類の商品を幅広く取り扱っているため、消費者が今日購入した商品とは異なる商品を翌日または短期間で購入する可能性があります。これにより、顧客の購買頻度を高め、長期的な売上の安定化が図れるのです。

例えば、楽天市場のような総合通販プラットフォームでは、購入後に次回使えるクーポンを提供する「サンキュークーポン」を発行することで、再購入を促進しています。また、商品発送後にフォローメールを送信し、そのタイミングで新商品や関連商品を提案することで、消費者の購買意欲をさらに喚起します。このように、リピート購入を促すための施策が総合通販の強力な武器となります。

総合通販の運営においては、豊富な商品ラインナップを維持するための在庫管理や物流の効率化が重要な課題となります。商品数が多くなるほど、在庫の管理が複雑化し、適切な在庫レベルを維持するためには高度な管理システムが必要です。さらに、顧客に対する迅速な商品配送を実現するためには、ロジスティクスの最適化が不可欠です。これらの課題に対処することで、総合通販は持続的な成長を遂げることができます。

ロジスティクスの観点からみた違い

単品通販における物流の特徴として、取り扱う商品数が少ないため、保管場所の確保に大きなスペースを必要としない点が挙げられます。このことは、物流コストの削減にも繋がります。しかし、単品通販においては、顧客ごとに異なるニーズに対応するための柔軟な出荷体制が求められます。例えば、初回購入者とリピート購入者に対して異なるチラシや特典を同梱する「ワントゥワンマーケティング」(One-to-One Marketing)を実施する場合、顧客ごとにパーソナライズされた対応が必要となります。これには、専用のシステムやピッキングプロセスの自動化が求められ、一定の初期投資が必要となることもあります。

さらに、単品通販では、突発的な需要の変動にも迅速に対応することが重要です。例えば、テレビCMや全国紙に広告を出稿した場合、一時的に注文が急増することがあります。このような需要のピークに対しては、物流センターの柔軟性が試されます。予測は可能であるものの、実際にどの程度の注文が入るかは事前には分からないため、急な出荷増加に対処できる体制を整えておく必要があります。このような場合、外部の物流パートナーと協力し、ピーク時に備えた体制を構築することが求められます。また、適切な在庫管理と迅速なピッキング・梱包体制の確立により、出荷遅延を防ぎ、顧客満足度を維持することが重要です。

一方、総合通販では、取り扱う商品の種類やバリエーションが豊富なため、在庫管理が極めて複雑になります。商品数が多いだけでなく、同一商品の異なるカラーやサイズ、モデルなどが存在するため、SKU(Stock Keeping Unit、在庫管理単位)の数が必然的に増加します。このような多様なSKUを効率的に管理するためには、専用の在庫管理システムが不可欠です。また、商品が多岐にわたるため、それぞれの商品の保管スペースを確保する必要があります。保管場所の効率的なレイアウト設計や、在庫回転率を考慮した配置が求められます。

さらに、総合通販では、在庫切れを防ぐための適切な在庫補充と、売れ筋商品の需要予測が重要です。需要を見誤ると過剰在庫や欠品を招き、コストの増加や売上機会の損失に繋がります。そのため、総合通販では高度な需要予測システムと連動した自動発注システムの導入が推奨されます。また、物流オペレーションにおいては、複数のSKUを迅速にピッキングし、効率的に梱包・出荷するためのマルチオーダーピッキングシステムや、ロボティクスを活用した自動化が進んでいます。これにより、出荷精度を高めつつ、物流コストの抑制が可能となります。

総合通販においては、商品の多様性が魅力である一方、その多様性を維持しながら物流効率をいかに高めるかが事業の成功に直結します。したがって、ロジスティクス全体の最適化、特に在庫管理と出荷体制の整備が、総合通販において競争優位性を確立するための重要な要素となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?この記事を通じて、単品通販と総合通販のそれぞれの特徴と、それに応じたロジスティクスの違いについて理解を深めていただけたかと思います。単品通販は、限られた商品を効率的に管理し、顧客ごとのニーズに応じた柔軟な出荷対応が求められる一方、総合通販では、幅広い商品ラインナップを効率的に管理し、多様なニーズに対応するための高度な在庫管理と出荷体制が必要です。

この違いを理解することで、貴社のビジネスモデルに最適なロジスティクス戦略を確立することが可能となります。例えば、単品通販では、顧客のリピート購入を促進するためのマーケティング施策と連携したロジスティクス体制を整えることが重要です。一方、総合通販では、商品数の多さに起因する複雑な在庫管理を効率化し、迅速な出荷を実現することで、顧客満足度を高め、競争力を維持することが求められます。

また、単品通販と総合通販のどちらが貴社に適しているかを検討する際、ロジスティクスがどれほど重要な役割を果たすかも考慮する必要があります。ロジスティクスは単に商品の保管や出荷を行うだけでなく、顧客体験の向上やコスト削減、そして事業全体の成長を支える戦略的な要素となり得ます。

次回の記事では、単品通販と総合通販それぞれに特化したロジスティクス戦略について、さらに深掘りしてご紹介いたします。具体的な事例や実際の運用方法を交えながら、より実践的なアプローチをお伝えする予定です。これにより、皆様が自社のECビジネスをさらに強化し、成長させるためのヒントを得ていただけることを願っています。ぜひ次回もお楽しみに。

単品通販と総合通販のロジスティクスの違い その2


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