ECサイトの決済の重要性
経済産業省が平成29年4月に発表した「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2016年のBtoC-EC市場規模は、15兆1,358億円となり、前年比9.9%増加しております。また同じ報告書の中で、「物流品質が消費者によるEC参加事業者の評価を左右する重要な要素の一つである。」とありますが、決済についても「物流と共に、決済はBtoC-EC市場の発展と消費者の利便性向上における重要な要素である。」と記されています。
今回は自社のECサイトに導入する決済方法について、現状のユーザーの利用割合や特徴について紹介させて頂きます。使いたい決済がない場合、実に70%以上の購入者はECサイトから離脱すると言われています。せっかく広告費をかけて、集客に成功しても買い物カゴで離脱してしまってはもったいないの一言です。そのため、集客に力を入れる前に新たな決済の導入を検討する必要があるのです。
ECサイトの決済方法の利用割合
同じく調査報告書にはインターネットで購入する際の決済方法に関するアンケート結果を公表しています。クレジットカード払いが 69.2%と最も高い回答率であり、代金引換(39.0%)、コンビニエンスストアでの支払い(36.1%)、銀行・郵便局の窓口・ATM での振込・振替(26.5%)となっています。
ECサイトの決済方法の種類と特徴
クレジットカード決済
一番人気の決済方法です。ユーザーから人気がある理由は「オンライン上で支払いが出来る」こと、「他の決済方法と比べて決済手数料が必要ない」ことが上げられます。もはやECサイトのユーザーにとってはなくてはならない決済方法となっています。ショップ側のデメリットとしては決済手数料がショップ負担のため、多少なりとも利益が減ります。クレジットカード決済を自社のECサイトに導入するには「クレジットカード会社と直接契約」もしくは「決済代行会社を利用」の二つの方法があります。決済代行会社を利用した方が手続きが簡単であり、複数のクレジットカード会社を利用することが出来ます。また、システムもあらかじめ用意されているので導入コストを抑えることが出来ます。
コンビニ決済(前払い)
注文のあったお客様にお支払い用URLを記載したメールをお送りして、先にコンビニで決済して頂く決済方法です。コンビニという手軽さと現金でレジで支払えるといった分かりやすさや安心感があります。商品はあくまでも入金の確認が取れてから発送するため、ショップ側にはリスクがない決済方法となっています。ただしかし、ユーザーにとっては商品発送まで時間がかかる決済方法のため、商品配達までのスピードを求める場合は不向きとなる決済方法です。ECサイト開店時は必須ではないものの、あると便利な決済方法です。導入には決済代行会社と契約する方法があります。
後払い(コンビニ・郵便局・銀行)
在後払いはユーザーが商品を受け取ってから都合の良い時間に近くのコンビニなどで支払いすることが出来るため、人気が高い決済方法です。また、ショップ側の入金確認が不要のため、比較的早く商品を発送してもらえるのもユーザーにとっては満足度が高いポイントであります。ただしかし、決済代行会社による注文者の利用審査が必要のため、必ずしもどのユーザーも利用出来るというわけではありません。また、利用限度額が設定されている場合もあります。一見、後払いと聞くとショップ側に回収不能のデメリットがあるように思いますが、決済代行会社が保証してくれるので、安心して導入出来る決済方法です。こちらも導入しているショップが増えているため、まだ導入していない場合は導入を検討する必要があります
銀行振込(郵便振替)
「クレジットカードは使いすぎるから持ちたくない」「代金引換は現金を用意するのが面倒くさい」といったユーザーが好むのが銀行や郵便による振込・振替決済です。ユーザーにとっては自分の口座から使った分だけ差し引かれるため、分かりやすいといった特徴もあります。ATMから振り込みも出来ますが、最近ではインターネットバンキングから振込も出来るため、ECサイトの決済方法としてはポピュラーになりました。導入するには振込先となる口座を用意する必要があるのですが、売上が高いECサイトでは、ユーザーの振込手数料を軽減するために、複数の銀行口座を用意している場合もあります。一般的に銀行振込は前払いで振込手数料は顧客負担に設定しているお店が多いため、ショップ側のデメリットも少ない決済方法です。
代金引換
クレジットカード決済はオンライン上で支払いが完結する便利な決済方法ですが、オンライン決済に抵抗や不安を持つユーザーも多く、実際に商品を手に取るタイミングで支払いが出来る代金引換は今でも人気の決済方法となっています。ただその代わりに、注文しても受け取りまで支払わう必要がない決済方法のため、「注文したけどやっぱり要らない」といった心変わりしたユーザーによる受け取り拒否や長期不在も問題となっております。ショップ側のメリットとしては決済手数料を顧客負担に設定出来るため、利益を減らさずに済みます。導入するには日本郵便やヤマト運輸、佐川急便などの運送会社と契約を結ぶ必要があります。
電子決済(電子マネー)
Edy、Waon、suicaに代表される電子マネー取引となります。いまや駅の改札だけではなく、自動販売機にも設置されるようになりました。クレジットカードと違い、クレジットカード番号の管理システムが伝わらない決済方法のため、クレジットカードに不安を頂くユーザーを取り込めます。また、そもそもクレジットカードを持つことが出来ない若年層ユーザーも顧客に出来ます。プリペイド型の電子マネーなら、不正利用や残高不足による不渡りなど、代金回収リスクがありません。ネット決済におけるユーザーの電子マネーの利用方法としてはパソコンにUSBタイプのカードリーダーを設置する方法や、おサイフケータイなどのアプリを使って支払う方法があります。
キャリア決済
携帯電話のキャリアがネットショップから債権を譲り受け、代金を回収する決済です。手数料が他決済より高めに設定されているケースが多いですが、スマホの普及によりECにおけるキャリア決済の需要は伸びてきています。こちらも電子マネーと同じで、カード番号の入力に抵抗があるユーザーやクレジットカードを持つことが出来ない若年層ユーザーも顧客に出来ます。決済の手順がキャリアの画面でIDやパスワードを入力し、暗証番号を入力するといった流れで比較的簡単に注文出来るのが特徴です。利用した金額は毎月の携帯電話と一緒に請求されるため分かりやすいです。
ID決済(アカウント決済)、スマホ決済
今急激に増えている決済方法がこちらです。ID決済(アカウント決済)は、外部のIDと連携し、ネットショップの決済手続きを簡略化する手段です。例えば、Amazon、楽天、PayPay、LINEなどの会員情報を用いて、情報の入力手間を削減し、購入手続きをスムーズにします。これに対して、スマホ決済は、スマホのアプリを使用して決済を行います。
代表的なスマホ決済として、Amazon Pay, 楽天ペイ, PayPay, LINE Pay, au PAY, d払い, Google Pay, Apple Payなどがあります。各サービスは会員数、月額費用、決済手数料などの特徴が異なります。
ID決済の導入メリットとして、カゴ落ちの防止、新規顧客獲得、各サービスの経済圏ユーザーの獲得などが挙げられます。一方、導入時のコスト、入金サイクルの確認、問い合わせ対応の仕組み作りなどの注意点もあります。
ID決済(アカウント決済)、スマホ決済は、ターゲットユーザー層を考慮して適切なサービスを選び、導入することで、ネットショップの利便性と効率性を向上させることが期待出来ます。
ポイント決済
ECサイトではポイント利用がスタンダードになっています。特に金額の低い商品はポイントで支払われるケースが多いです。楽天やYahooといったECモールで扱われるポイントはそれぞれのECモール以外にも店頭やオンラインサービスなど、ありとあらゆる形態の販売事業者とポイント連携しています。そのため、ユーザーがECモール以外で貯めたポイントでもECモールで使用してくれる可能性があります。それがECモール出店のメリットとも言えるでしょう。また、自社ECサイトの場合はレンタルカートなどでサイトを構築するケースが多いですが、そのようなレンタルカートにはポイント発行機能が備わっているものもあります。そのようなポイントは自社ECサイトでしか使えない場合が多いのですが、その分ポイントを発行すればまた自社のECサイトで再注文してくれる可能性が増えるので、リピーターを増やすには良い手段であると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ECサイトの売上を伸ばすにはユーザーの利便性を考えた上で多彩な決済方法を準備しておく方が懸命と言えます。また、決済方法には必ずしも良いといったものはなく、自社ECサイトの取り扱い商材やターゲット(年齢など)にも考慮して選択する必要があるようです。一般的にはクレジットカード決済が多いEC業界ですが、若年層をターゲットにしている場合は積極的にキャリア決済や電子マネー決済の導入をご検討ください。
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