在庫回転率(商品回転率)とは?メリットや計算方法を分かりやすく解説
「在庫の過剰や不足が多発して困っている……」という方も多いのではないでしょうか?
在庫を適正に保つためには、「在庫回転率(商品回転率)」という指標を用います。
そこで今回は、在庫回転率(商品回転率)のメリットや計算方法をわかりやすく解説。
この記事を読めば、在庫回転率(商品回転率)を向上するためのポイントも分かります。
最初に在庫回転率(商品回転率)の基礎知識を解説します。すぐに計算方法が知りたいという方は、以下のリンクをクリックすると読み飛ばしできます。
目次
在庫回転率(商品回転率)とは
在庫回転率(商品回転率)とは、一定期間の間に「どれだけ在庫が入れ替わったか」を表す指標のこと。
※商品回転率や棚卸資産回転率と表現される場合もあります。
たとえば、1ヶ月のうちに在庫商品が3回入れ替わったなら、在庫回転率(商品回転率)は3回/月となります。
では一体、なぜ在庫回転率(商品回転率)を求める必要があるのでしょうか?
次に、在庫回転率(商品回転率)の目的を見てみましょう。
在庫回転率(商品回転率)の目的
在庫回転率(商品回転率)の目的は、在庫の動きを可視化すること。
在庫の動きを可視化すれば、自社の経営状態を正しく判断できます。
たとえば、在庫回転率(商品回転率)が「3回/月の商品A」と「6回/月の商品B」では、どちらが売れているといえるでしょうか?
正解は6回/月の商品B。
「3回/月の商品A」だと、在庫が6回転するのに倍の時間がかかってしまいます。
一般的に、在庫を長く保有するほど管理コストがかかるため、企業は在庫回転率(商品回転率)を高める施策を行う必要があるのです。
在庫回転率(商品回転率)を把握する3つのメリット
在庫回転率(商品回転率)を把握するメリットは主に3つあります。
以下、詳しく解説します。
需要予測を立てられる
商品の売れ行きは、常に一定なわけではありません。
年(とし)やシーズン(春夏秋冬)が違えば、商品の売れ行きは変わります。
在庫回転率(商品回転率)を「月」や「週」などの単位で把握していけば、リアルタイムで顧客のニーズをつかめるでしょう。
前述のとおり、在庫回転率(商品回転率)が高い商品は「売れている」、在庫回転率(商品回転率)が低い商品は「売れていない」と判断が可能。
在庫回転率(商品回転率)によって商品の需要予測を立てられれば、今後の商品企画に活かしたり、このあとに解説する「機会損失」や「不良在庫」の発生を防いだりできます。
在庫切れなど機会損失を防げる
せっかく売れ筋の商品があっても、追加の生産や仕入れがうまくいかないと、在庫を切らしてしまいます。
機会損失の発生は、企業にとって「経営的ミス」と言わざるを得ません。
高い在庫回転率(商品回転率)は、追加の生産や仕入れのGOサイン。
在庫回転率(商品回転率)は、企業の売上を最大化させるために重要な指標となるのです。
不良在庫など無駄なコストを削減できる
売れずに倉庫に眠ってしまっている在庫を「不良在庫(不動在庫)」といいます。
商品は保管しているだけでコスト(倉庫の家賃や保管費など)がかかります。
在庫回転率(商品回転率)が低い商品は、早い段階でSALE価格で販売するなどの対策が必要。
在庫回転率(商品回転率)は、売上だけでなく、企業の利益を最大化させるためにも重要な指標といえます。
在庫回転率(商品回転率)の計算方法は2種類ある
在庫回転率(商品回転率)の計算方法には、「数量で求める方法」と「金額で求める方法」との2種類あります。
結論、「数量で求める方法」がおすすめ。
「数量で求める方法」なら、「月」や「週」などの単位で在庫回転率(商品回転率)を計算できます。
前述のとおり、顧客のニーズを把握したり、「機会損失」や「不良在庫」の発生を防ぐには、在庫回転率(商品回転率)を短いスパンで把握しておく必要があります。
対して、「金額で求める方法」は、主に決算書の数字を基にするため、年に一回しか在庫回転率(商品回転率)を計算できません。
それぞれ詳しく解説します。
数量で求める方法
在庫回転率(商品回転率)を数量で求めるには、以下の計算式を用います。
「期間中の平均在庫数」を求める計算式は、以下のとおりです。
この入出庫カレンダーでは、それぞれ以下の数字となっております。
・期首の在庫数→150
・期末の在庫数→150
・期間中の出庫数→300
であれば、計算式は以下のとおりです。
期間中の平均在庫数=(150+150)/2=150
在庫回転率(商品回転率)=300/150=2
在庫は期間中に2回転したことになります。
金額で求める方法
在庫回転率(商品回転率)を金額で求めるには、以下の計算式を用います。
※在庫金額は棚卸資産とも呼ばれます。
分子について、「売上高(販売価格)」ではなく、「売上原価」を用いるのは、分母の「平均在庫金額」が原価で計算されるためです。正しく計算するために、分子と分母の単位を合わせます。
「期間中の売上原価」と「期間中の平均在庫金額」を求める計算式は、以下のとおりです。
・期間中の平均在庫金額=(期首の在庫金額+期末の在庫金額)/2
まず、「期間中の売上原価」から解説します。
期首の在庫金額は、「期首時点で、在庫として抱えている商品の原価」です。そこに「期間中に新たに仕入れた商品の原価」を足し、「期間が終わった時点で売れ残った商品原価」を差し引けば、「期間中の売上原価」を計算できます。
次に、「期間中の平均在庫金額」について解説します。
計算式のとおり、期首の在庫金額と期末の在庫金額を足して2で割ると、「期間中の平均在庫金額」を計算できます。
在庫回転期間の計算方法
在庫回転率(商品回転率)と一緒によく耳にするのが「在庫回転期間」です。
在庫回転期間とは、在庫が1回入れ替わるのにかかった期間のこと。
※「棚卸資産回転期間」と呼ぶこともあります。
たとえば、ある商品の在庫回転期間が3か月/回であれば、在庫が入れ替わるのに3か月を要したことがわかります。
在庫回転期間の計算式は、以下のとおりです。
たとえば、30日間で2回転する商品であれば、「30/2=15」となり、15日で1回転することが分かります。
また在庫回転期間は、以下の計算式によっても求められます。
たとえば、年間売上金額(原価)が6,000万円で棚卸資産が300万円の場合、在庫回転期間は「300/(6000/365)=18.25」となり、約18日で在庫が1回転することを表します。
適正在庫はいくら?
適正在庫とは、「過不足」が発生しない理想的な在庫を指します。
適正在庫は、「業種」によって異なるため、以下の資料を参考にしてください。
出典:「経済産業省:中小企業の商品(製品)回転率」(最終更新日:2007.10.1)
製造企業における中小企業の製品回転率をみると、製品回転率が高いのは、プラスチック製品製造業の17.0回、ゴム製品製造業の16.7回、食料品製造業の16.6回、パルプ・紙・紙加工品製造業の16.2回などとなった。他方、製品回転率が低いのは、繊維工業の7.1回、衣服・その他の繊維製品製造業の7.3回となった。この結果、製品回転率が最も高いプラスチック製品製造業と最も低い繊維工業との業種間格差は9.9回となった。
在庫回転率(商品回転率)を向上するための3つのポイント
最後に、在庫回転率(商品回転率)を向上するために押さえておきたいポイントを解説します。
在庫回転率(商品回転率)を向上できれば、企業の売上や利益の拡大に貢献するため、ぜひ参考にしてください。
リードタイムを短縮する
リードタイム(Lead Time)とは、商品の発注から納品までに要する時間(期間)のこと。
多くのお客様は、「すぐに商品が欲しい」と考えています。
リードタイムを短縮できれば、販売数の増加を期待できるでしょう。
販売数(出庫数)が増えれば、当然ながら在庫回転率(商品回転率)は向上します。
なお、リードタイムには以下の4種類があります。
・開発リードタイム
・調達リードタイム
・生産リードタイム
・配送リードタイム
詳しくは、以下の記事で解説しているので、参考にしてください。
販売価格を見直す
在庫回転率(商品回転率)が低いと、不良在庫が発生し、コストがかかります。
いっそのこと、販売価格を下げてみるのも手段の一つ。
一度どちらの方がコストを抑えられるか試算してみましょう。
ただし、自社のブランド価値が下がってしまうなど、値下げに対して、ネガティブな要素がある場合は注意が必要です。
倉庫管理を最適化する
倉庫管理が煩雑化していると、商品の品質が下がったり、商品を紛失したりしてしまうことも。
商品が出荷できないとなると、在庫回転率(商品回転率)は下がってしまいます。
つまり、在庫回転率(商品回転率)の向上には、倉庫管理の最適化が必須。
最適化には、WMS(ダブリュー・エム・エス)という倉庫管理システムの導入がおすすめです。
WMSならバーコードによる「入出荷検品」や「ロケーション管理」ができるため、倉庫管理を最適化できます。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
まとめ
この記事では、在庫回転率(商品回転率)のメリットや計算方法を解説しました。
まずは自社の在庫回転率(商品回転率)を算出して、現状を把握してください。
改善点を見いだせれば、在庫の過剰や不足を抑えられるでしょう。
弊社トミーズコーポレーションでは、物流会社の観点から、お客様の在庫回転率(商品回転率)を向上するために各種サポートを用意しております。
「自社物流では倉庫管理を最適化できそうにない……」という方には、物流のアウトソーシングがおすすめ。
物流のプロに委託すれば、簡単に倉庫管理を最適化できます。
また、「倉庫管理の最適化は難しいけど、自社物流にはこだわりがある……」という方は、クラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ)」の導入がおすすめ。
クラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ」なら、低コストでWMSを導入できます。
少しでも気になった方は、お気軽にお問い合わせください。
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