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公開日: 2021/05/10

アパレル経営の重要指標「プロパー消化率」の落とし穴

カテゴリ:倉庫業務について

VMD

近年の日本のアパレル市場は供給過多と言われています。その場合、他社の商品と差別化ができていないと価格競争に陥ることになり、結果として経営状況が悪化する可能性が高まります。そこで度々議論にされるのが、アパレル経営に重要な一つの指標である「プロパー消化率」。中にはプロパー消化率を最重要指標として捉えている企業も存在しますが、少し注意が必要です。本日はプロパー消化率を再確認するとともに、どのようにすれば高めていけるのかを考えていきたいと思います。

プロパー消化率とは

まずプロパーとは定価(値下げをしない正規価格)を意味します。定価はプロパー以外にもフルプライス(FP)やメーカー希望小売価格と呼ばれることもあります。プロパー消化率とは商品鮮度が維持できる商品販売期間内に定価で販売した金額の割合です。

計算式としては
商品販売期間内に定価で販売できた金額 / 同期間内の総金額
です。

何故プロパー消化率が重要かと言うと、プロパー消化率が高ければ高いほど定価で販売できたということになりますので、当然企業にとっては利益が取れていることになります。反対にいくら売上が高くてもプロパー消化率が低ければ、利益が取れていないという事になりますので、経営としては注意が必要です。

また、たまに販売金額でなく販売数量でプロパー消化率を計算している方がいますが、それは間違いです。なぜかというと商品によって販売単価が異なるからです。販売単価が異なる商品に対して一律に同じKPIを設定しまうと、最終金額で計算した場合に想定と誤差が出てしまいます。

プロパー消化率を指標にする上での落とし穴

プロパー消化率は確かにアパレル経営にとって重要な指標でありますが、注意も必要です。ここではプロパー消化率を指標にする上での落とし穴をいくつか紹介いたします。

残品率

売価変更をいくら行っても換金できない在庫を残品と言います。プロパー率が高くても残品率が高い場合は、経営に黄色信号が灯っていると言えます。中には残品を仕入れ価格のまま棚卸評価する企業もありますが、あくまでも残品はマークダウン(値引き)しても売れなかった商品です。それ相応の資産価値として捉え損金を計上し、利益が出ているか正しく判断しなくてはいけません。

販促費

前述でプロパー消化率が高いと利益が取れていると記載をしましたが、実は一概にそうとは言い切れない部分もあります。というのも近年のアパレルの販促企画は昔と比べると非常に多種多様になりました。会員向けのポイント付与は当たり前ですし、クーポンによる値引きも常態化しています。場合によってはプロパー販売期間であるにも関わらず、タイムセールを実施している企業も多くあります。実質の値引きをしているにも関わらず、ほとんどの企業ではこれらを販促費として計上しているため、プロパー消化率だけを見ると高いと錯覚してしまいますが、実際に利益が取れているかというと一概にそうとは言い切れません。

マージン(手数料)

販促以外に気を付けないといけないのがマージン(手数料)です。マージンと言っても様々なマージンが存在します。例えば出店形態を考えてみましょう。店舗販売のテナント料(家賃)が固定費であれば売上を拡大していくことで、結果的に粗利から捻出するテナント料(家賃)の負担は軽減されます。しかし、ECモールのように出店費用が売上からの料率で計算される場合は注意が必要です。これはいわゆる変動費のため、仮にプロパー率が高い場合でもマージン分を捻出するための定価設定ができているか確認する必要があります。

その他、気を付けないといけないのが企業側が負担する決済手数料です。昔と比べて顧客は様々な決済方法を選択できるようになりました。クレジットカードや後払い、電子決済など。決済方法によっては売上の数%を決済手数料とするものもあり、出店マージンと同じように元々の定価設定に注意が必要です。

プロパー消化率を高める方法

プロパー消化率は間違いなくアパレルにとって重要な指標ですが、それだけを見ていれば良いと言うものではありません。しかしながら、利益を上げるためにはマーダウン販売に頼らずにプロパー消化率を高めていくことも確かに重要です。それではどうすればプロパー率を高めていけるのでしょうか。

長期的に販売できるベーシック商品

ブランドとして個性が必要になるのは確かですが、中には期を越して販売していけるいわゆる定番商品をラインナップに加えるのも良い手かもしれません。本来1シーズンで勝負をかけないといけないところ、3年~5年をかけてプロパーで販売することができれば、一定数利益を担保できます。

単体商品ではなくVMDを強化する

アパレルが本来得意としているのがこのVMD。VMDとはマーチャンダイジング(商品化計画)をヴィジュアル(視覚的)に行うことですが、アパレルの場合、店舗の外観や内観、マネキンによるコーディネート提案やショップスタッフの接客など、いろいろな複合要素が顧客に与えるイメージを決定付けています。つまり、売れ残ってしまった商品でも翌年以降に上手く見せることができればまた、プロパーで販売することができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。プロパー消化率を高めるためには長期販売を見据えた商品企画やVMDが重要です。

トミーズコーポレーションではアパレル企業様の長期販売戦略をサポートするための物流コスト削減を提唱しています。物流コスト削減には倉庫の保管効率向上が必要不可欠。例えば販売期間中の商品とシーズンオフした商品で保管方法を変えるのはもちろんのこと、在庫のABC分析をしっかりと行い、出荷頻度ランクに合わせた保管方法を選定する必要があります。

また、トミーズコーポレーションのパートナー企業には実績のあるVMD企業が存在します。トミーズコーポレーションはアパレル企業の商品企画やVMD・在庫保管などトータル的にサポートいたします。

効率的な在庫保管を実現するならトミーズコーポレーション

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