V字回復の「しまむら」から見習うモノづくりの姿勢
先日、自宅でテレビを見ていると「ファッションセンターしまむらがV字回復した」というニュースを見た。
消費者から見るしまむらのイメージというと、安くて可愛いものを売っているお店というイメージが強く、実績としてもユニクロに次ぐ大手SPA量販店であることは確か。弊社の荷主様もしまむらに卸しているメーカー様は多く、ファッション業界への影響力は衰えるところを知らない。
デフレだからこそ、安いものが売れるのは当然で、しまむらはそのど真ん中にいたことは間違いない。ただ、ご存知の通り、(低価格衣料を強みに成長してきたしまむらは、近年の消費税の増税による値上げは実施せずに低価格路線を維持。その結果、粗利率の悪化で業績が下がった。)というニュースは多かった。
目次
しまむらが打った手とは
デフレの勝ち組と称されたしまむらが売った手は「商品の高品質化」である。その高品質の商品が3,900円の裏地あったかパンツ。しまむらというと1,980円のイメージが強かったわけだが、この商品がヒットしたとのこと。やはり好景気の流れなのか、「消費者もただ単に安いものを求めるのではなく、少し高くても品質が良いものを買いたいと言った心理に移り変わった」とテレビのコメンテーターは言っていた。
景気や情勢によって消費者の購買心理は変わるため、そこに合わせていくのは当然であるが、私はそんなことより、やはり「モノづくりの姿勢」、ここに原点があるのではないだろうかと思う。
筆者のネットショップ運営経験
私も以前ネットショップを運営していた経験ですごくそれを感じたことがある。
売り上げを上げるにはどうしたらよいのだろうか?
そんなことを考えては色々な広告を試した。効果の大きいものもあれば全く効果のないものもあった。まさに失敗の連続であった。しかしある時、気付いたことがある。
売れるものは売れるし、売れないものは売れない。
非常にシンプルだった。
1日に50万円かけた広告で980円送料無料のワンピースを目玉として売り出した。売れるように画像を作りこんで、ランディングページの上の方に配置した。しかし全く売れずにページの下のほうにあった3,980円の2wayのワンピースがばか売れしたのだ。
3,980円の2wayのワンピースは、チューブトップワンピースとしても使えるし、マキシスカートとしても使えるようにスタッフで企画した商品だった。恐らく、少し高くてもお客様にとって価値のあるのはこっちだったということだろう。
安くて可愛いと思って力を入れて販売した980円送料無料のワンピースが売れなかったのはショックだったが、後から思うとそのワンピースに似た商品は他店でも販売していた。そして、これも後からお客様のレビューを見て分かったのだが、3,980円の2wayのワンピースが売れた理由は、2wayであることから使い勝手がよくお得感がある点、レースの模様が可愛い点、バイカラーの配色が良かった点、ウエストゴムの強度がしっかりしている点だった。
そして、高評価のレビューが増えると3,980円の2wayのワンピースはさらにどんどん売れて、追加生産を3回ほどした。
この経験から感じたのはお客様は「本当に見ている。」ということだった。そして、使い勝手、デザイン、品質が値段より良くなければヒットは生まれないということだった。
こだわりを持つことの大切さ
今回のしまむらの3,900円の裏地あったかパンツの件でも、野中正人社長が「こだわりを持ってやれば売れる」との信念で、現場から出ていた「2,300円でないと売れない」との声を一蹴して進めたそうだ。そして、2015年秋冬に用意した110万本は、値下げをほぼすることなく売り切った。60万本を用意した2014年を上回る大型ヒット商品になった。とのこと。
商品を売る方法を探るのも大事だが、売れる商品を作る。
難しいが、意外にここが一番近道なのかもしれない。そう感じた経験だった。
弊社では多くのアパレルメーカー様とのネットワークを保有しているため、衣料品の生産等でお困りの場合はご紹介させていただきます。お気軽にご相談ください。
※本文に使用されている画像はイメージです。
量販店発送代行サービスはこちらから