ECフルフィルメント委託のメリットとデメリットについて
EC市場の拡大は経済産業省が報告する「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」にも記載されている通り、衰えることを知らず、成長市場であることが分かります。本日はECフルフィルメントのメリット・デメリットをお伝えいたします。
(引用:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」)
目次
ECフルフィルメントとは
ECフルフィルメントとはネットショップ運営に伴うバックヤード部分のことを言います。バックヤード部分とは主には受注処理・決済処理・在庫管理・発送業務・顧客対応等になり、商品が注文されてからお客様に商品が届く一連の業務全般となります。それでは各業務を簡単に説明します。
受注処理
お客様から注文が入ったらまず行う業務が受注処理です。注文内容によって、スムーズに発送できるものもあれば、お客様に確認が必要なものもあります。最近では受注処理に人の手を介さない、いわゆる自動化を進めているショップもあります。人件費が削減でき、発送までのリードタイムを短くできるため、顧客にもメリットがあります。ただ、名入れやオーダーメイド商品を取り扱うショップなどはお客様と意思疎通をしっかりと取らないとクレームにつながる可能性があるので注意が必要です。
決済処理
近年のネットショップでは多彩な決済方法が用意されています。それは注文時、ユーザーが求める決済方法がないとユーザーは離脱するというデータがしっかりと公表されているからです。ショップとしてはできる限り、カゴ落ちユーザーを減らしたいのが本音でしょう。決済方法によっては受注後に決済処理が必要なものがあります。例えばクレジットカードの場合はオーソリ処理といって、クレジットカードが期限内か利用枠があるかなどの承認作業が必要になります。その他、銀行振込の場合は口座への入金確認が必要となります。このように決済毎にそれぞれ独自の決済処理が発生します。
在庫管理
お客様に正しい商品をいち早く届けるためには在庫管理が大切です。どこに、何が、どのくらいあるのか分からないとスピーディーに商品を発送することができません。WMSという倉庫管理システムを導入していれば、入荷時に入荷検品を行うことで、正しい在庫数を把握できます。次に、在庫を保管する際にはローケション管理といって、棚やパレットに住所のようなものを付与することが必要になります。ロケーション管理がしっかりとできていると、どこに何がどのくらいあるのかすぐに分かります。また、在庫数も正確に管理できます。
もし、間違った在庫数を販売システムに反映してしまっていたらどんな問題が起こるでしょうか。あったはずの商品がないとなると、注文したお客様からクレームが発生してしまいます。高評価のショップレビューを獲得していかないといけない昨今では、ミスを一つでも減らしていく取り組みが重要となります。
発送業務
さきほどの話にもつながりますが、ロケーション管理がしっかりとできていると、ピッキング業務をスピーディーに行うことができます。また、発送業務の中には流通加工も含まれます。割れやすい商品などは梱包時にエアークッションなどの緩衝材を入れる対応が必要になります。また、ギフト対応やチラシ・ノベルティの封入作業もショップによっては必要になってくるでしょう。
最後に、気を付けなければいけないのは、注文明細書の入れ間違いや送り状の貼り間違いを防ぐことです。個人情報の取り扱いがシビアになっている近年では誤発送は以ての外です。
顧客対応
コールセンター業務とも言われます。お客様からの問い合わせは多種多様です。商品の問い合わせもあれば、ショップの営業時間の問い合わせもあります。1番厄介なのがクレーム対応です。せっかくスムーズに商品を発送することができたとしても、クレームが発生してしまってはここに1番労力がかかってしまいます。クレームだけならまだしも、低評価のレビューがついてしまったら、今後の売上減衰に繋がります。顧客満足度を高めていくためにもしっかりとしたケアができる体制づくりが望まれます。
ECフルフィルメントを委託するメリット
ネットショップのバックヤード業務をプロに委託することで、ショップ運営が容易になります。経営者の中にはネットショップを立ち上げる時点で選択肢の一つとして考える方もいるでしょう。しっかりとルールさえ作ってしまえば、確かに第三者にある程度委託することはできます。売上を拡大させていくためには、商品企画や販促活動に専念することが重要です。多くのショップが在庫管理や顧客対応に悩まされて満足のいく販売戦略を遂行できていません。そうなってしまったら本末転倒です。
ECフルフィルメントを委託するデメリット
残念ながらECフルフィルメントの委託はメリットばかりではありません。コールセンター業務を例に考えたいと思います。
商品の問い合わせ
商品の問い合わせがあった場合には正しい商品知識を持ってお客様に案内することが重要です。しかし、商品数が多ければ多いほど、商品の仕組みが複雑であれば複雑なほど、委託業者に代行してもらうことは困難になります。中途半端な案内では購入に繋げることはできず、かえってお客様を混乱させてしまいます。
コールセンターの代行業者のほとんどが、簡易的なマニュアルを作って、分からなければ委託元に転送する仕組みを取っていますが、最近ではAiによるチャットボットも登場していることから、工夫次第では簡単な問い合わせは減らすことができます。
また、問い合わせこそが商品企画の材料と考えているショップもあります。お客様の声をしっかりと把握することで、よりよい商品づくりに活かせます。
クレーム対応
クレーム対応こそショップ運営の真価が問われるところです。ここで間違った顧客対応をしてしまえば二次クレームに発展してしまいます。しっかりとお客様の気持ちに寄り添い、解決することが望まれます。
最近ではショップレビューに返信機能を追加したECモールも登場しています。低評価のレビューでも誠心誠意お客様と向き合うことで、後に高評価のレビューに変わることもあります。
ピンチをチャンスと考えることができれば、長く安定したショップ運営を築けることでしょう。しかし、代行会社ではそこまでの対応はできません。その理由はスピード感と意識の問題です。自社でクレーム対応する場合は、担当者で問題解決できなくともすぐに責任者に変わることができます。代行会社ではそのスピードを欠いてしまいます。
また、自社スタッフであれば誠心誠意お客様と向き合うことができますが、代行会社の担当者はいかがでしょうか。プロであったとしてもやはり元は同じ人間です。お客様から叱られた際に委託元ショップ運営者と同じ温度感で対応することができるでしょうか。それは疑問に残ります。
在庫管理と発送業務のみの委託がおすすめ
おすすめは在庫管理と発送業務のみを委託することです。先ほどデメリットで触れたように、自社でやるべき業務まで委託してしまったら、手間は省けても結果的にショップを育てることはできません。
コールセンターに力を入れる会社として有名なのが、最近テレビCMでもお馴染みのドゥクラッセです。同社は試着代行サービスを開始し、コールセンターに力を入れる会社として一躍脚光を浴びました。
(参考)コールセンターは「会社の顔」! 内製化で「試着代行サービス」を実現する女性通販ドゥクラッセ
このように売上を拡大させていくためには長期ビジョンを持って、しっかりとショップのファンを増やしていくことが需要でしょう。
まとめ
トミーズコーポレーションは在庫管理と発送業務の代行会社です。SKU数の多い管理の複雑なアパレル物流に20年携わってきました。最近ではECに特化したクラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ)」の導入・販売も開始し、より高い精度を実現しています。在庫管理や発送業務でお困りの場合はまずはお問い合わせください。
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