アパレルの基本:婦人服のサイズ
アパレル業界人なら知っていることでも、お客様側から見ると実際はよくわからない、というものの一つが「サイズ」ではないでしょうか。
もちろん、多くの方は「S・M・L」の順番でサイズが大きくなり、それより細分化されたXSやLLも、3段階でおさまらないより小さな、あるいはより大きな、という意味だとご存知です。
では「号数」はどうでしょうか。基本的に女性服(レディース)に使われるサイズの名称です。
「11号が入らない」「9号はS・M・Lで何にあたりますか?」と、冠婚葬祭での礼服や、ダイエットに絡めた話題でたびたび登場します。
「すでに「S・M・L」というサイズ表記があるのに、さらに「号数」で分けるのには理由があるの?」
「そもそもどう違うの?」
こうした疑問を持たれるお客様もいらっしゃると思います。
その時、正しく説明できると、お客様の信頼もアップします。
目次
サイズ表記の違い
ではもし、そんな疑問を投げかけられたら、こうお答えしましょう。
☆「S・M・L」は「範囲表示」で、フィット感のある服ではなくセーターなどのゆったりめの服に適用されるサイズ表記です。
☆「号数」は「バスト記号」で、胸のサイズを準拠してつけられるサイズ表記です。
ファストファッションなど、誰でも着こなしやすい量販向け商品の場合は、お客様のサイズを厳密に決めうちにするのは難しいため、セーターなどゆったりしたものでなくとも、S・M・L表記が一般的です。
範囲表示の例を出すと「Sサイズ(cm) 胸囲:72〜80、ヒップ:82〜90、ウエスト:58〜64、身長:154〜162」と、これだけでも8センチ前後の差があります。Sサイズならこの範囲内の人に適していますよ、ということです。
それに対して「号数」は、より厳密です。
スーツなど体にフィットするタイプで、特に伸縮性がない商品に使われることが多いのです。
たとえば9号であれば、「バストサイズ:83cm」になります。11号で「86cm」です。
しかしバストサイズだけでは、実際は服のサイズまで決定できません。胸の大きさが同じ号数だとしても、身長やお尻のサイズが違えば、服が入らなかったり逆にスカスカだったりします。
そのため号数で厳密に分ける場合、さらに「体型(=ヒップ)記号」と「身長記号」も定める必要があります。
「体型(=ヒップ)記号」について
体型記号はその名の通り、「体型」を表し、ファッションでは「ヒップ」が基準となります。
普通の体型の人は「A」です。それよりも小さい人は「Y」、大きい人は「AB」「B」です。
体型記号の順番:「Y」<「A」<「AB」<「B」
「身長記号」について
身長記号は158cmの「R=レギュラー」を基準として、それより低い「P=プチット(より低いPP)」と「T=トール」があります。
身長記号の順番:「PP」<「P」<「R」<「T」
例えば、胸のサイズが83cm、普通の体型で、身長が少し低い150cmなら、表記は「9AP」となります。
このように、上記2つの記号も入れて初めて号数による厳密なサイズが決定します。
同じ号数でも入る入らないが起こるのは、体型か身長(あるいは両方)が原因ということになります。
SMLも号数も、着用者のバスト・ウエスト・ヒップ、そして身長を基準とした寸法です。これを「基本身体寸法」と言います。
どの表記を用いるかは企業により違いますが、いずれもJIS(日本工業規格)において基準が定められています。
まとめ
いかがでしたか?
アパレル業界にとっては常識でも、お客様は案外、知らないままサイズについて悩まれていることが多いのです。
「もしかしたら、お客様はご存知ないのかも」と気遣うことで、話のすれ違いも格段に少なくなります。
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