EC物流倉庫の在庫精度が99.999%を達成できた理由
南大阪に複数の営業倉庫を運営する株式会社トミーズコーポレーション(代表取締役社長:富永和樹)は自社が運営するEC物流倉庫にて在庫精度99.999% を達成したことをご報告いたします。それにちなんで今回は「在庫精度」について解説すると同時に高い在庫精度を実現できた理由をご紹介いたします。
目次
EC物流倉庫とは
EC物流倉庫の基本概念
EC物流倉庫は、オンラインでの注文に基づいて商品を保管、管理、出荷する施設です。従来の物流倉庫と比べて、EC物流倉庫は消費者に直接商品を配送することが特徴であり、主にBtoC(Business to Consumer)取引を扱っています。インターネットの普及により、消費者は自宅から簡単にさまざまな商品を購入できるようになりました。そのため、迅速で正確な配送がECビジネスの成功には欠かせません。
このような背景の中、インターネットを通じた商品やサービスの売買、電子商取引(EC)が広がっています。そのため、効率的な物流システムが非常に重要となり、EC物流倉庫は電子商取引の流れを支える基盤として重要な役割を果たしています。これらの倉庫は、オンラインショッピングの顧客体験を向上させるために中心的な役割を果たし、企業が顧客に対してより速く、より正確に、そしてコスト効率良くサービスを提供できるように支援しています。
EC物流倉庫の役割
EC物流倉庫の役割は多岐にわたりますが、主に以下のような業務を行っております。
商品の保管:さまざまな商品が適切に保管され、必要に応じて迅速に取り出せるように整理されます。
注文処理:オンラインでの消費者の注文を受け、商品をピッキング、梱包まで行います。
出荷:梱包された商品をトラックに積み込み、消費者のもとへ配送します。
在庫管理:商品の在庫をきちんと把握し、過剰在庫や品切れが起こらないよう管理します。
返品処理:返品があった場合の商品の受け入れ再処理をします。
これらの業務を通じて、EC物流倉庫はオンラインショッピングが良くなるように裏で支えております、迅速で正確な対応が求められるため、物流倉庫の運営は非常に重要なものとなります。
最新のEC物流倉庫
現代のEC物流倉庫は、急速に変化する市場の要求に応えるためにAI(人工知能)技術を使用して自動化を進めたり、リアルタイムで在庫を管理するシステムが導入されたりと、より効率的でスマートな物流を目指す動きがあります。また、環境に優しい持続可能な物流を目指して、エコな取り組みも行っております。
以上が、EC物流倉庫についての基本的な解説となります。
EC物流倉庫の特徴
EC物流倉庫は、オンラインショッピングの増加に伴い、近年ますますその重要性が高まっています。ここでは、EC物流倉庫が持ついくつかの主要な特徴を詳しく見ていきましょう。
主な特徴
BtoC出荷が主流
EC物流倉庫は、主に個人消費者向けの配送を行います。このため、物流のプロセスは個人宅への配送に特化しており、細かなカスタマイズや複雑な手続きが少なく、スピーディな対応が可能です。
多品種小ロットの在庫管理
EC物流倉庫では、通常、多品種の商品を少量ずつ保管します。これにより、さまざまな商品を幅広く提供することが可能となります。小規模ながらも多様なニーズに対応できる柔軟性が求められるため、効率的な在庫管理が不可欠です。
迅速な注文処理と出荷
オンラインショッピングでは、消費者が注文した商品を可能な限り早く受け取りたいと考えています。そのため、EC物流倉庫では、注文受付から商品のピッキング、梱包、出荷までのプロセスがスムーズに進むように最適化されています。多くの倉庫では、注文後24時間以内に商品を出荷することが一般的です。
流通加工の対応
EC物流倉庫では、商品の保管だけでなく、検品、ラベル貼り、梱包、ギフトラッピングなどの流通加工も行います。これにより、商品を市場に出すまでの追加の価値を提供できます。
顧客サービスとアフターフォローの重視
消費者は商品を実際に見ることなく購入を決めるため、届いた商品に対して色々な意見や要望が生じやすいです。EC物流倉庫では、返品や交換などのアフターサービスも迅速に対応する体制を整えておく必要があります。これは消費者の満足度を保ち、リピート購入につながる重要な要素です。
EC物流倉庫は、ただの保管場所以上の機能を持ち、オンラインショッピング良くなるように多様な役割を担っています。これらの特徴を理解することで、ECビジネスをより効果的に運営するための戦略を立てることができるでしょう。
EC物流倉庫の種類
EC物流倉庫は、オンラインショッピングの物流を支える重要な基盤として、その機能とサービスの提供方法により複数のタイプに分類されます。ここでは、それぞれのタイプが持つ特有の特徴と、選定時の考慮点について詳細に解説します。
販売主体タイプ
このタイプのEC物流倉庫は、商品の入荷から注文受付、発送手配、返品処理まで、EC運営に関わるほぼ全ての業務をカバーします。クライアント企業は物流を外部に委託することで、より販売やマーケティングに注力できるようになります。代表的な例としては、アマゾンの「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」があります。
業種特化タイプ
特定の業種に特化したEC物流倉庫は、その業界特有の要求に応じたカスタマイズされたサービスを提供します。例えば、食品業界向けには温度や湿度を厳密に管理できる設備を備え、アパレル業界ではアイロン掛けや検針といった加工サービスを提供する倉庫があります。これにより、特定の商品の品質保持や販売効率の向上が図られ、業界特有の問題に対応できる専門的なサービスが可能となります。
倉庫サービス主体タイプ
倉庫サービス主体タイプのEC物流倉庫は、カスタマイズ性に富んでいます。顧客の特定の要望に柔軟に対応することができるため、特殊な商品管理や特定の配送方法が求められる場合に適しています。このタイプの倉庫は、様々な流通加工サービスも提供しており、顧客に合わせた梱包やラッピングなどが可能です。
システム会社主体タイプ
システム会社主体タイプのEC物流倉庫は、物流システムの専門企業が運営を担当しています。これにより、最新の技術や効率的な物流システムを活用して、顧客企業の商品管理や配送をサポートします。システムの導入によって在庫管理や出荷プロセスの自動化を可能にし、より迅速かつ正確なサービス提供が可能になります。
これらのタイプから最適なEC物流倉庫を選ぶには、自社の事業内容、商品の特性、必要とするサービスの範囲をしっかりと検討することが必要です。各タイプにはそれぞれ利点がありますが、自社のニーズと合わない選択をしてしまうと効率が落ちる可能性があるため、選定には細心の注意が求められます。
在庫精度とは
在庫精度とは、理論在庫(帳簿上の在庫)と実在庫(実在する在庫)との間の差異の割合を指し、情報と物理的な在庫が一致することを目的としています。在庫精度の高さは、物流業務の効率性と直接的に関連し、顧客満足度を向上させるためにも極めて重要です。
業界では、在庫精度に関して「フォーナイン(99.99%)」や「ファイブナイン(99.999%)」といった用語が使用されることがあります。これらはそれぞれ1万分の1、及び10万分の1の欠品率を意味し、非常に高い在庫精度を表しています。これらのレベルを達成するためには、日々のオペレーションにおいて精度を求める多くの努力が必要です。
実際に、高い在庫精度を維持することは、適切な在庫管理と直接的な顧客対応の質の向上に寄与します。誤差の少ない在庫情報は、出荷ミスの減少、顧客への迅速な対応、そして不要な在庫コストの削減につながるための重要な要素です。そのため、多くの企業では、最新の技術を利用した在庫管理システムの導入や、定期的な棚卸を通じて、この精度を確保するための戦略を採用しています。
トミーズが在庫精度を重要視する理由
弊社トミーズコーポレーションはお客様(荷主)の荷物をお預かりして指定の納品先へ発送することを生業としている3PL(物流代行会社)です。そのため、高い在庫精度を達成するということはお客様(荷主)に高い物流品質のサービスを提供することと同義となりますので、日々PDCAサイクルを回し、業務オペレーションの向上を図っています。
今回は弊社が運営するEC物流倉庫で棚卸をした際に約13万点の在庫に対して差異が±1枚という優れた結果になり、99.999%のファイブナインを達成したことから、日々の従業員の功績を称えるためにも表彰状を贈呈しました。
在庫精度が高いということは、定期的に実施される棚卸作業の結果が良好であることを示しています。これは、日常的な物流オペレーションが非常に正確に行われている証拠です。出荷ミスが生じると在庫の不一致が発生し、特にアパレル業界のように流通加工が頻繁に必要とされる分野では、在庫管理が一層複雑になります。また、BtoBとBtoCの双方を扱う場合や、返品対応を行っている場合の在庫管理は、さらに高度な精度が求められます。
トミーズコーポレーションでは、これらの課題を乗り越え、高い在庫精度を実現するために、在庫管理システムの導入や従業員の定期的な研修を行うことで、全てのプロセスにおいて品質を保証しています。99.999%の在庫精度は、単なる数字以上の価値を持ち、お客様に対する信頼性の高いサービスを提供する根幹をなすものです。
高い在庫精度を実現できた理由
それでは具体的にファイブナインを実現するために実施した取り組みをごく一部ですがご紹介させていただきます。
ECに特化したクラウドWMSの導入
弊社トミーズコーポレーションは倉庫管理システムとしてクラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ)」を導入しております。これは弊社がサービス販売もしているWMSでECに特化したWMSとなります。日々物流オペレーションを行う弊社が使い勝手をとことん追求し、使いやすいシステムになるよう努めています。
WMS勉強会の実施
物流倉庫や物流センターを稼働するためにはパートスタッフの力が必要です。実際に弊社トミーズコーポレーションでは多数のパートスタッフが在籍しており、日々の物流オペレーションを支えています。彼らはすべての拠点でクラウドベースの倉庫管理システム「ビーロジ」を活用しており、このシステムを最大限に活用するために、新人スタッフを含む全員に対して定期的にWMS勉強会を開催しています。
これらの勉強会では、WMSの基本操作から応用技術まで、従業員がシステムを深く理解し、日々の作業に活かせるように指導しています。
しかし、技術だけではなく、物流の品質を高めるためには、作業環境の整備や作業効率を向上させるための5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)も同時に推進しています。このように総合的な人材教育を行うことで、システムの導入効果を最大化し、誤差の少ない物流プロセスを実現しています。
トミーズコーポレーションでは、これらの教育プログラムを通じて、従業員一人ひとりがシステムを正確に操作できるだけでなく、チームとしての連携を強化し、全体としての業務効率を向上させることを目指しています。
柔軟に対応できる巣箱保管
弊社トミーズコーポレーションではピッキングエリアの保管方法として巣箱やラックを商材によって使い分けています。巣箱は鉄製のラックに比べて軽いのが特徴で、強化段ボール素材を採用していることから強度もあります。
巣箱の下部にはパレットを配置し、ハンドリフトを使用することで、棚単位での移動が簡単に行えます。この設計により、出荷頻度の高い商品のABC分析を行った後の在庫の再配置や大規模な在庫移動が発生しても迅速に対応することができます。また、シーズンオフになった商品は、商品を棚保管のまままとめて移動することが可能であり、個々の商品を新たにケースに詰め替える手間を省くことができます。
これらの巣箱保管システムの導入により、ピッキングエリアでは商品の取り出しや配置変更がスムーズに行われ、作業効率が大幅に向上しています。効率化されたピッキング導線の確保により、出荷ミスの削減が図られ、結果として全体の物流品質の向上が期待できます。
注文内容に応じたピッキング方法の選定
トミーズコーポレーションでは、商品の特性や顧客からの注文内容に応じて、最適なピッキング方法を選定しています。このアプローチにより、出荷プロセスの効率化と品質向上を同時に追求しています。
注文の種類に応じたピッキング戦略を採用することで、特に売れ筋商品の単品オーダーには「トータルピッキング」を適用し、これにより迅速な処理が可能となります。トータルピッキングでは、一つのオーダーに必要な全商品を一度にピックアップし、効率的な配送準備を行います。
一方で、複数商品が含まれる注文や併せ買いの場合には「シングルオーダーピッキング」を採用しています。この方法では、各オーダーごとに個別の商品をピックし、注文に対応する精度を高めます。
これらのピッキング方法の選択と適用により、トミーズコーポレーションは日々の物流オペレーションにおいて、時間とリソースの最適化を実現しています。ピッキング効率の向上は直接的に出荷速度の向上につながります。このように、注文内容に応じたピッキング方法の選定は、物流センターの運用効率と全体的なサービス品質の向上に不可欠な要素です。
EC物流倉庫の効率化と精度向上に向けた取り組み
トミーズコーポレーションでは、常に時代の変化に適応しながら、EC物流倉庫の効率化と精度向上を目指した取り組みを推進しています。ここでは、当社が実施している最新の取り組みについてご紹介します。
ペーパーレス化への取り組み
物流現場ではこれまで、多くの書類や紙ベースの作業指示が用いられてきました。しかし、当社ではデジタル化を積極的に推進し、ペーパーレス化を実現することで業務の効率化とエコフレンドリーな倉庫運営を実現しています。
具体的には、作業指示書や検品リストをタブレット端末やハンディスキャナーに集約し、リアルタイムで情報を管理。これにより、情報伝達のスピードと正確性が大幅に向上しました。また、書類管理にかかる時間やスペースも削減され、スタッフがコア業務に集中できる環境を整えています。
業務フローの継続的な見直し
日々変化する物流ニーズに応えるためには、既存の業務フローを定期的に見直し、改善を加えることが不可欠です。当社では、スタッフからのフィードバックを積極的に取り入れながら、より効率的でミスの少ない作業手順を構築しています。
たとえば、ピッキングや仕分け作業の動線を最適化することで無駄な移動を削減。また、タスクごとの所要時間を細かく分析し、効率的に生産性を高める体制を整えています。このような継続的な改善活動により、物流現場のパフォーマンスを最大限に引き出しています。
WMS周りの改善とRPA導入によるミス削減と作業時間短縮
当社では、さらなる精度向上と業務効率化を実現するために、WMS(倉庫管理システム)周りの改善を積極的に進めています。具体的には、システムのインターフェース改善やデータ処理機能の強化を図り、作業の効率化とヒューマンエラーの削減に取り組んでいます。
また、業務の自動化を加速させるためにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入も徐々に進めています。これにより、これまで手作業で行われていた定型業務を自動化し、スタッフはより高い業務に集中できるようになりました。
まとめ
今回ご紹介しました事例はほんの一部ですが、ご参考にいただけたましたか?高い在庫精度を実現することができれば、ありとあらゆる経営活動を根底から支えることができます。
クラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ)」はクラウドであるため自社に高額なサーバーを設置する必要がありません。また、比較的導入コストが高いと言われるハンディーターミナル(業務端末)ですが、BEELOGIはスマートフォンのハンディーミナルを採用しているため、導入コストを安く抑えられます。さらにSIMカードによる携帯端末回線でアクセスすることが可能であるため、WiFi工事不要で使用することができます。
ECに特化したクラウドWMS「BEELOGI(ビーロジ)」
「在庫精度が上がらない」「作業効率をもっと高めたい」 といった課題を抱えている場合、思い切って物流部門をアウトソーシングするのも一つの選択肢です。物流業務を専門のプロに任せることで、貴社は販促や企画といったコア業務に経営資源を集中させ、さらなる成長を目指すことができます。
「EC物流倉庫をもっと効率的にしたい」「在庫管理を正確に行いたい」 とお考えでしたら、ぜひ一度トミーズコーポレーションにご相談ください。
貴社に最適な物流ソリューションをご提案いたします。お気軽にお問い合わせくださいませ。
物流アウトソーシングならトミーズコーポレーション