組織を円滑に運用するには組織図が必要
「物流改革がなかなか上手くいかない」そんな声を聞くことも少なくはありません。物流改革とはまさしく「物流」の改革のことを指しますが、物流改革が成功していない会社ほど、組織形成が上手くいっていない可能性があります。そのため、本日は組織形成の際に用いられる組織図について解説したいと思います。
目次
組織図とは
組織図(英訳:Organization chart)とは、会社でいうところの部門や役職の相互関係、また指示系統を一目で分かるように表したものです。付け加えると組織の人員配置はもちろんのこと、予算やお金の権限なども判断することができるため、組織運営において無くてはならない存在です。
「組織図」と聞くと割と大きな組織を想像してしまいがちですが、実はそうではありません。従業員が3名以上在籍していれば、組織図は必要です。これがないと物流改革はおろか、組織運営もままなりません。
組織図の目的
組織図を利用する目的は多岐に渡りますが、その中でも重要なものが3つあります。
業務遂行
業務の遂行にはホウレンソウ(報告・連絡・相談)が必要不可欠です。これらを欠いてしまうと業務が滞ってしまいます。組織図はホウレンソウを組織にしっかりと定着させるために絶大な効果を発揮します。「誰」が「誰」に報告・連絡・相談しないといけないのかが明確になるため、もし万が一上手くいっていない場合は責任の所在を追求することができます。
モチベーションのUP
組織図があることで、従業員は自分の役割を把握することができます。また、将来自分の進むべきビジョンが見えるようになるため、モチベーションのUPにつながります。人手不足と呼ばれる昨今、人材募集にかかるコストは年々上昇傾向にあります。せっかく雇用した従業員が退職しないようにするためにも、従業員のモチベーションを維持させる努力は必要です。
権限譲渡
「ワンマン経営」という言葉を聞いたことはありますか?すぐに想像するのは「経営者が他人の言うことに耳を貸さず、独断で組織を動かしている状態」 のことだと思います。ただ、ワンマンにはもう1つの意味があり、「通常2人以上が従事する事を、1人だけで行う状態」を指します。そういう意味でも、「ワンマン」にはやはり限界があります。経営者1人がすべての業務に対応するのは現実的に不可能です。また、そのような状態では従業員の成長も見込めないことから、会社としての未来は無いに等しいと言えます。そのため、適切な人材に適切な役職を与え、業務レベルでの権限譲渡を行い、協力し合って組織運営することが大切です。
組織図の役割
業務で問題が発生したら、原因を探すのが経営者の役割です。中小企業の場合、従業員の数も少なく個人の行動や能力に目が届いてしまうことから、経営者は「人に原因がある」と考えてしまう傾向にあります。もしくは、「自分には経営者としての素質がない。」と考えてしまうかもしれません。ただ、本当にそうでしょうか?必ずしもそうとは言い切れません。
人または部門が役割を果たし、成果を出し続けるためには、そのための機能が必要です。会社という組織をうまく機能させるために設計図が必要ということです。その設計図が組織図であり、組織図の役割が組織を機能させることにあります。
組織図の作り方
組織図を作るにはするべきことが3つあります。
必要機能の洗い出し
会社で頻繁に問題が起きている場合は、それを解決するための「機能=部署」が無い可能性があります。例えば、「従業員が育たない」という問題であれば、従業員を教育するための部門が無いか、部門までいかずとも教育係がいない場合が考えられます。いずれにせよ人材育成の機能がないと言えます。
担当者・責任者の配置
必要な機能を洗い出した後はそこに担当者、責任者を配置します。担当者や責任者を配置することで、従業員は自身の役割と責任を理解することができるため、人の成長はもちろん、会社の成長にもつながります。
成果定義文の作成
「成果定義文」とは「人または部門が何を成果とするか明記したもの」です。例えば業務改革推進部という部署の場合は「問題点の解決や改善を検討、実行、検証し成果を出すこと」が成果と言えます。成果定義文を作成することで、ゴールが明確化されることから、それに至るまでの道のりを考え出すことができます。
組織図の使い方
出来上がった組織図と成果定義文は必ず、従業員全員に細部に至るまで説明し、従業員全員が見える場所に掲示することが必要です。また、変革が早い会社ほど組織図もそれに伴い変更する必要がでてくるため、その都度更新するといったメンテナンスも必要です。せっかく作った組織図や成果定義文が背景の一部と化しないように気をつけましょう。
組織図の成果
組織図が無い状態だと単純な伝達漏れや認識のずれといったイージミスが原因となり、うまく成果を上げられない場合があります。組織図を作ることで、従業員が自分の役割と責任を理解することができるため、迷うことがなくなり、情報伝達が迅速に行われます。そのため、もし仮に成果が上がらなかった場合でも、根本的な原因を追求することができます。
組織図の継続
組織図は現状の組織体制を明確化するためのもですが、組織の未来像でもあります。そういう意味では3年後、5年後の組織図を描くことで、会社として将来目指すべき姿をより現実的なものとして捉えることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?組織運営には組織図が必要不可欠です。もし仮に今所属している会社に組織図が無い場合は早速、作ることをオススメ致します。
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