トラック運送業界の2024年問題とは?荷主が抱えるリスクや解決策を解説
皆さんは今、トラック運送業界で囁かれている「2024年問題」をご存知ですか?
2024年問題は、物流関連企業のみならず、荷主である物販事業者にも間接的に影響が出るであろう懸念事項です。
そこで今回は、2024年問題の課題や解決策について解説します。
この記事を読めば、2024年問題に対して、物販事業者が抱える具体的なリスクが分かります。
さらに解決策も解説しているので、物販事業者が「何をどのように取り組まなければいけないのか」も分かりますよ!
流通の一端を担う立場として、ぜひ参考にしてください。
目次
2024年問題とは?
2024年問題とは、政府が推進する働き方改革により、トラック運送業界に懸念が生じることを言います。
具体的には、令和6年から自動車運転業務の時間外労働が、年960時間に制限されることによって発生する問題です。
時間外労働を年960時間に制限する政府の狙い
政府が時間外労働を年960時間に制限する背景には、トラック運送業界が抱える「ドライバー不足」という深刻な問題があります。
ドライバー不足の主な原因は、少子高齢化やEC市場の急成長による「宅配個数の増加」などです。
とくに宅配個数は、以下の実績のとおり、年々右肩上がりで増加しています。
令和3年度の宅配便取扱個数は、49億5323万個で、前年度と比較して1億1676万個・約2.4%の増加となった。
ドライバー不足を解消するためには、トラック運送業界特有の過酷な労働環境を見直す必要があり、政府が改善に乗り出したのです。
現在、トラック運送業界の労働環境で問題視されているのは、主に以下の2つです。
それぞれ解説します。
年間所得額が全産業の平均より低い
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」よると、トラックドライバーの年間所得額は、全産業平均と比較して、大型トラック運転者で約5%低く、中小型トラック運転者で約12%低いとされています。
▲出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」
長時間労働の慢性化
またトラックドライバーの年間労働時間は、全産業平均と比較して、大型トラック運転者で432時間(月36時間)長く、中小型トラック運転者で384時間(月32時間)長いことが分かっています。
▲出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」
この長時間労働の慢性化は、時間外労働が主な原因とされており、そこに制限を設けることで、政府は改善しようとしているのです。
実際に、時間外労働が年960時間を超えるドライバーは全体の約27%にのぼり、なかでも長距離ドライバーにおいては約48%と高い割合になっています。
(出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」)。
時間外労働年960時間の制限がもたらす懸念
一見、政府による働き方改革の推進は、トラック運送業界ないしは、流通業界全体の課題を解決するための施策のように思えます。
しかし同時に、時間外労働を年960時間に制限すれば労働時間が減り、結果的にドライバーの給料が減るかもしれません。給料が減れば離職が進み、ドライバーがさらに不足してしまいますよね。
つまり、時間外労働年960時間の制限は、トラック運送業界にとって負の側面もあるのです。
2024年問題によって物販事業者の負担も増えるかもしれない
2024年問題によって、物販事業者の負担も増えるおそれがあります。
具体的には、以下2つの負担です。
それぞれ詳しく解説します。
運送会社に支払う運賃が高くなる
2024年問題によって、物販事業者は運送会社から、運賃の値上げを要求されるおそれがあります。
なぜなら、運賃の元となる運送会社側のコストが増えるかもしれないためです。
たとえば前述のとおり、時間外労働年960時間の制限によって、結果的にドライバーが不足したとします。
各運送会社はドライバーを確保するために、現状より多くの採用コストを支払わなければなりません。
またドライバー不足への対応として、「週休2日制の導入」や「有給休暇の取得促進」などにも着手する必要が出てくるでしょう。
1人あたりの労働時間が減ると、これまでと同じ物量をこなすためには、ドライバーの数を増やす必要があります。
従業員が増えると、当然ながら法定福利費(社会保険料や労働保険料のうち、企業が負担する部分のこと)の負担も増えます。
その結果、運送会社は増えたコストをどこかから捻出する必要があり、その手段として運賃の値上げに踏み切るしかなくなるのです。
運賃の値上げは、物販事業者にとって大きな負担となるでしょう。
倉庫のスケジュール管理が厳密になる
2024年問題によって、物販事業者は自社の倉庫作業について、スケジュールを厳密に管理する必要が出てきます。
なぜなら、トラックドライバーの長時間労働の多くは、荷主起因の「荷待ち」であるためです。
(出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」)。
厚生労働省は「荷主特別対策チーム」を編成し、荷主に対して、労働基準監督署から以下の要請ができる体制を整えています。
(参考:厚生労働省「改善基準告示の改正に伴い「荷主特別対策チーム」を編成しました」)
荷待ち時間を減らすためには、荷主が集荷時間までに荷造り(梱包)を確実に終えている必要があるでしょう。
つまり、荷主である物販事業者にとって倉庫作業のスケジュール管理は、今後さらに重要になってくるのです。
荷主である物販事業者が取るべき対策
物販事業者におすすめしたいのが、物流のアウトソーシングです。
物流会社に業務委託すれば、倉庫作業のスケジュールを自社で管理する必要が無くなります。
基本的には、出荷指示を出すだけで、あとは物流会社が自社の代わりに、適切に運送会社に荷物を引き渡してくれるでしょう。
おすすめは物流実績27年のトミーズコーポレーション
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27年の物流実績をもとに、お客様の荷物を丁寧に保管するのはもちろん、集荷時間を原則に守り、滞りなく運送会社に引き渡します。
じつは今回の2024年問題を受けて、すでに各運送会社(宅配業者)とはすでに意見交換しております。
倉庫業である弊社としては、長時間の荷待ちを発生させないように、鍛え上げられたスケジュール管理能力をもとに、運送会社をサポートしていく所存です。
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