労務コンプライアンスとは?委託先選定のポイント
「発送業務の外部委託を検討しているけど、どの物流会社を選べばよいか分からない……」と悩んでいませんか?
委託先を選定するときは、当然のことながら物流品質が高い会社を選びたいですよね。
ただ併せて重要視していただきたいのが、委託先の労務コンプライアンスです。
というのも近年は、委託先の労務コンプライアンス違反に関する問題が表面化している背景があります。
以前までは、自治体の仕事を受注する建築業など、一部の業界については「労働条件審査(労務監査)」を要件とするケースがよくありました。しかし、近年ではそれが一般化しているのです。
実際に、物流業である弊社トミーズコーポレーションでも、「労働関係法令を遵守したうえで労務管理を行っているか」といった問い合わせは増えていますよ。
そこで今回は、労務コンプライアンスの基礎知識、違反事例から見た自社へのリスクなどを詳しく解説します。
この記事を読めば、委託先選びで失敗するリスクを低減することが可能です。
目次
労務コンプライアンスとは
そもそも「労務コンプライアンスって何?」という方も多いのではないでしょうか。
労務コンプライアンスとは、労働関係法令を遵守したうえで労務を管理すること。
コンプライアンスが「法令厳守」という意味であることは、おそらくご存知の方も多いと思います。
ただコンプライアンスを労務関係に絞ってみても、実に多種多様な法律が存在するのです。
たとえば以下のようなものです。
企業はこれらの法律に定められた、「最低限の労働条件を守る義務」があります。
ただ残念ながら、「コンプライアンスを気にしていたら利益にならない」「大企業ではないから問題ない」と主張する企業も少なくありません。
しかし、コンプライアンスは企業活動における基本。こうした言い訳はもはや通用しない社会になっていると言えるでしょう。
労務コンプライアンス違反事例
労務コンプライアンス違反の具体的な事例としては、「長時間労働」や「未払い賃金」などが挙げられます。
もし委託先の企業が労務コンプライアンスを違反してしまうと、発注側である自社の社会的評価も低下してしまうおそれがあるので、注意が必要です。
委託先と契約する前に、下記のような労務コンプライアンス違反が発生していないか、事前にヒアリングしましょう。
長時間労働
労働時間は原則として、法定労働時間を越えてはいけません。
労働基準法では、週40時間、1日8時間以内の範囲と定められています。
ただ「時間外・休日労働に関する協定」いわゆる「36協定」が締結されていれば、原則月45時間、年360時間を上限として残業させることが可能です。
(特別条項付きの36協定を締結すれば、時間外労働の上限を超えて合法的に労働してもらうことも可能。)
しかし、36協定を締結しないまま基準の残業時間を越えた場合は、違法です。
そもそも長時間労働は、労働者のうつ病や過労死を引き起こしかねません。
賃金の未払い
賃金の支払いは、企業と労働者の関係を成り立たせるための基本契約ですよね。
しかし、コンプライアンス違反が起きている実情があります。
令和3年4月~令和4年3月まで、1,069の企業が是正勧告を受け、64,968人の労働者に割増賃金を支払っています(参考:厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」)。
なかには、企業と労働者の認識にズレにより、結果的に残業代の未払いが発生してしまうケースもあります。
委託先に労務コンプライアンス違反がないか確認する方法
では一体、委託先の企業が労務コンプライアンスを違反していないか、どのように確認すればよいのでしょうか。
一番簡単な方法は、委託先の企業に対して、労務コンプライアンスのチェックリストを用いてヒアリングすることです。
以下に例を示すので、参考にしてみてください。
労務コンプライアンスのチェックリストの例
・採用または労働条件の変更の際、条件を記載した書面を交付している。
・就業規則を作成し、労働基準監督署に提出している。
・常時雇用する労働者を社会保険(厚生年金、健康保険)に加入させている。
・時間外労働・休日労働の労使協定を締結したうえで、時間外労働をさせている。
・パートタイマーにも年次有給休暇を与えている。
・時間外労働・休日労働を行った場合、法定の割増賃金を支払っている。
・深夜労働を行った場合、法定の割増賃金を支払っている。
・労働者が請求した場合、産前休暇を与えている産後8週間を経過しない労働者を就業
させていない。
・出産・育児・介護に関する制度利用の申出・利用した際に不利益な扱いをしていない。
・定年を定めている場合、定年年齢は60歳以上である。
・解雇事由は就業規則において定められており、合理的である。
まとめ
労務コンプライアンス違反をそのままにしておくと、労働基準監督署から是正勧告を受けるおそれがあります。
違反内容によっては、経営者や従業員が逮捕され、罰金刑や懲役刑といった刑事罰を科される場合もあるでしょう。
委託先の企業が機能しなくなると、自社にも多大な被害が発生してしまうおそれがあるので、注意が必要です。
委託先を選定する際は、労務コンプライアンスチェックリストを用いて、事前にヒアリングしましょう。
弊社トミーズコーポレーションでは、労務コンプライアンスの厳守に徹底しております。
委託先の物流会社として、安心してご利用いただくことが可能です。
自社の発送業務を外注する場合は、お気軽にご相談ください。
物流実績25年のトミーズコーポレーション